今シーズンも抜群の相性の良さで、次々と日本ペア史上記録を塗り替え続けてきたりくりゅうの2人。
そんな2人の演技の序盤に登場してきた『ツイストリフト』には、2人にとって『出会い』、『苦手意識』、『憧れ』など、様々な思い出があったそうです。
『りくりゅう』こと、三浦璃来選手・木原龍一選手組の今シーズンのショートプログラム・フリーともに、演技の冒頭に披露されていたツイストリフト。
男性が女性を頭上に回転させながら投げる大技で、木原選手はこの技に「絶対の自信をもっている!」と話しています。
2人のペア結成に繋がったのも、実はこのツイストリフト。
木原選手が、新たなパートナーを探すべく行なっていた2019年7月末のトライアウトにおいて、当時17歳だった三浦選手を相手にこの技を行なったところ、木原選手は「体に雷が落ちたような感覚」を味わったそうです。
そのあまりにも長い滞空時間に、
「人ってこんなに浮くんだ。
もしかしたらこれは最後のチャンスかもしれない!」
と衝撃を受けたとともに、確信した木原選手は、直後すぐにビザを取得し、2週間後には三浦選手とともに、新たな練習拠点となるカナダに渡っていました。
しかしそんなツイストリフトに、苦手意識をもっていたと話していた木原選手。
実は、元パートナーの須﨑海羽選手と平昌オリンピックに出場していた際、個人戦のョートプログラム前日練習で、空中に投げた須﨑選手を受け止めようとして、右手親指を負傷していたのです。
痛み止めを飲み、テーピングで患部を固めながら出場した個人戦ショートプログラムでは、自己最高の57.74点を叩き出すも全体の21位となり、上位16組で争われるフリーへの進出はならず、悔しい思いをしていました。
そんなツイストリフトがりくりゅうの強力な武器となったのには、木原選手のある行動が隠されていたのです。
実は、オリンピックに4大会連続出場し、トリノ大会では銀メダルと獲得していた中国のハオ・ジャン選手に、直接「ツイストを教えてください!」と懇願していた木原選手。
それが、2017年の四大陸選手権のことで、ジャン選手はそれを快諾し、約1週間後の冬季アジア大会後のウォーミングアップリンクで、パートナーのシャオユー・ユー選手とともに、お手本を見せてもらったり、ユー選手を相手に投げさせてもらっていたとのこと。
それまでツイストリフトの際は、腹筋を使う感覚がなかったという木原選手ですが、ジャン選手は「お腹からこうやって投げるんだよ!」と熱心に教えてくれたそうです。
ツイストには、スキッド(横に滑るタイプ)と、ぴょんと跳ねるタイプの2種類があり、木原選手は、元々スキッドタイプだったそうですが、ジャン選手のツイストリフトの指導により、オリンピックシーズンでありながらトレーニングを重ね、体の使い方やタイミングなどを試行錯誤し、跳ねるタイプにスイッチさせていたとのことでした。
今シーズン、2人の演技には国内だけでなく、海外の識者からも称賛の声が相次いでおり、特に、高く美しいツイストリフトは絶賛されていました。
その大技の裏には、様々な物語があり、それを知ったファンからは多くのコメントが寄せられていました。